Japanese
English
- 販売していません
- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
はじめに
21世紀を目の前に高齢者ケアをめぐる環境が変化するなか,看護の場が拡大するとともに,質の高い看護サービスが求められている.また,人々の健康に対する意識や生活の質に対するニーズは増大し,多様化している.老年看護に携わるものは,これらの変化や人々のニーズに対応できるよう,看護実践や看護教育に努力を重ね,研究を推進している.そしてそのめざす老年看護のゴールは,高齢者やその家族の生命・生活の質(Quality of Life:QOL)を最良に維持し,またその向上をはかることである,ということに異論はないであろう.高齢者やその家族のQOLをめざして老年看護は,どのような役割機能を担うことができるのだろうか.またその役割を担ううえでは,どんな課題があるのか.看護職に求められるものは何か.これらは,老年看護に携わるものにとって,常に抱えている課題でもある.わが国では,公的介護保険法が平成12年4月から実施され,高齢者をとりまく保健医療福祉システムが大きく変わろうとしている.このような時期に,前述の課題について見直し,何らかの方向性を探りたく考えた.
そこでこれらの課題に対しては,人々のQOLを最終目標とするWHOの提唱するヘルスプロモーションの理念を再確認し,日頃取り組んでいる研究や実践の見直しから取り組んだ.具体的には,平成7年から長野県伊南地域の高齢者を対象に取り組んでいる研究について,WHOの理念をもとにグリーンらが開発したプリシード・プロシードモデル1,2)を活用し検討した(図1).そこから,高齢者のヘルスプロモーションをめざした看護における教育や研究の枠組み,21世紀の老年看護に携わる者の役割などについて展望してみたい.
Copyright © 2000, Japan Academy of Gerontological Nursing All rights reserved.