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Ⅰ 緒 言
今日、私たちのライフスタイルに関わる疾病、生活習慣病が増加している中で、ヘルスプロモーションという概念がますます重要となってきている。ヘルスプロモーションとは、オタワ憲章の中で「人々が自らの健康とその決定要因をコントロールし、改善することができるようにするプロセス」と定義されており、その活動方法として「健康な公共政策づくり」「健康を支援する環境づくり」「地域活動の強化」「個人技術の開発」「ヘルスサービスの方向転換」の5つがあげられている(日本ヘルスプロモーション学会)。そして、健康日本21では、ヘルスプロモーションの理念に基づいて、住民参加による健康づくり運動の推進が基本とされている(財団法人健康・体力づくり事業財団,2000)。日本看護協会では現在、ヘルスプロモーションの推進を目的のひとつとした「まちの保健室」事業を行っており(中村悦子,2004)、その活動の場としてデパートも利用されている(磨家敦子,他,2005)。そのような中でI市のあるスーパーマーケットは2006年5月に健康支援コーナーを設置し、現在まで地域住民に対してヘルスプロモーション活動を行ってきた。この健康支援コーナーは、専属の保健師が一人おり、週一回テーマを決めて健康教育を行う事業や、血圧計や血流計などが常に置いてあり買い物客が自由に測定を行えるコーナー、保健師に個人的に相談できる相談コーナーなどで構成されている(写真1)。これまでに我々は、この健康支援コーナーが開設されて3ヶ月の時点での来店者の認知度・利用者層等の調査を行い、身近なスーパーマーケットにおける保健事業はその利用のしやすさによってより幅広い対象にアプローチできる可能性があることを報告した(堀容子,他,2005)。
「まちの保健室」事業はその多くが月1回程度の開催で、複数名のボランティアのスタッフによって行われている。一方この健康支援コーナーは平日週4日開かれているもので、一人の専任保健師により実施されている点に違いがある。この健康支援コーナーの利用者の行動変容に焦点を当て、さらにはヘルスプロモーションの枠組みからこの健康支援サービスの効果を評価することは、今後の地域保健活動の基礎資料となると考えられる。
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