Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
- サイト内被引用 Cited by
Ⅰ はじめに
現在、世界的に看護職員の人手不足が訴えられている1)-3)。不足の定義は各国で異なるものの、このような看護職員不足は、医療技術の発展など医療の質の向上、高齢化等による医療需要の拡大、人材育成の不足などによって必要とされる看護職員需要に対応できず生じたものと思われる。さらに、これに加えて、看護師の早期離職もまた、人材不足に拍車をかけていると考えられる。
看護師のターンオーバーや離職についての研究は数多くなされており、職務満足度の低さ、スタッフ数の不足、待遇面の低さ、職務ストレスの高さ、睡眠障害、組織協力の低さ、管理職のリーダーシップの弱さ、作業スケジュールなどが、離職に結びつく要因として挙げられている4)。日本看護協会が行った調査(2004年新卒看護職員の早期離職等実態調査報告書)5)では、毎年、10〜12%もの常勤看護職員が離職していると報告している。とくに、経験1年以内の新人看護職員の離職率は8〜10%と高く、新人看護職員の離職防止対策の必要性を示している。離職の理由としては、進学などのキャリアアップ、出産・育児、結婚などが大きな要因とされているが、「勤務時間が長い・超過勤務が多い」とする者も多数ある。とりわけ、新人の場合には、「勤務時間が長い・超過勤務が多い」という項目が2番目に多い離職理由となっており、経験の浅い新人職員を中心に看護職員の作業条件の厳しさが窺われるところである。
勤務時間の長さや超過勤務の多さの不満が離職者に多いということは、おそらく看護師全体においても問題となっているものと考えられる。また、いうまでもなく、看護師の仕事は患者・クライアントの生命に関わることであり、社会的な責務も高く、作業内容も多種多様で複雑性・専門性が高い。前述の離職の要因として列挙された事項も看護師の専門性や複雑性とも関わることと思われる。このような長時間勤務など仕事の負荷や特性は、看護職員の個人生活へ影響を与えていると同時に、看護職員の健康に対しても影響し、疲労・ストレスやその蓄積、さらには過労を起こしうることは容易に推察される。したがって、看護師においては、疲労は、本人の健康面のみならず、効率的・効果的な作業や労働生活を遂行するうえで、仕事に伴う疲労やストレスへの対策が重要課題のように考えられる。
Copyright © 2007, Japan Society of Nursing and Health Care All rights reserved.