Japanese
English
【論壇・論説】
緊急被ばく医療における2つの価値と看護の視点
Two Values in the Clinical Management of Radiological Accident Patient I A Nursing Perspective
小西 恵美子
1
Emiko Konishi
1
1長野県看護大学
キーワード:
放射線事故
,
価値
,
看護
,
Radiological accident
,
Values
,
Nursing
Keyword:
放射線事故
,
価値
,
看護
,
Radiological accident
,
Values
,
Nursing
pp.33-38
発行日 2003年9月30日
Published Date 2003/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7008200296
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1.はじめに
1999年に起った核燃料加工工場の臨界事故は、原子力・放射線利用の安全管理体制と並び、緊急被ばく医療にも大きな問題を提起したO。現在、緊急被ばく医療の整備・検討が進められており、看護の働きはその面でも重要になっている2-9)。緊急被ばく医療では、患者は被ばく又は身体汚染をし、又はその可能性があり、その上に、医療処置を要する傷や苦痛をもっている。医療者は、A.患者本人の救命、苦痛緩和、および安全確保と、B.患者からもたらされるかもしれない放射線や汚染から自分自身やまわりの人々の身を守る、という二つの価値に直面する。どちらの価値を優先すべきだろうか。
看護者は、対象にケアを提供するに際し、対象の境遇や健康問題のいかんに関らず、人間としての尊厳と、対象への尊敬をもって、偏見なくケアを提供する職業上の義務を負っている。それは看護師の倫理規定がうたうとおりである。
看護者はまた、対象へのケアを通し、ある程度の危険を受ける可能性がある。緊急被ばく医療における2つの価値の問題は、ケア提供という職業上の責任と、ケアによって受けるかもしれない危険とのバランスの問題でもある10)。本稿では、二次被ばく医療に焦点をおいて具体例をあげつつ、この二つの価値を考える。二次被ばく医療とは、事故の起った施設内またはそれに近接する初期被ばく医療施設で、被災者の応急処置と初期除染の処置がとられた後の患者を受け入れ、原則として入院診療を行うもので、全国の主要な医療施設が関係する可能性がある2,3)。
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