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はじめに
在宅酸素療法(以下,HOTと略す)が社会保険の適用を受けて15年が経過し,HOT適用者は7万人以上で年々増加傾向にある1)。このためHOT患者に関する研究は近年急増し,HOT患者に対する効果的な支援のあり方が模索されている。このうちHOT患者の食事に関する研究では,HOT適用疾患としてその割合が最も高い慢性閉塞性肺疾患(以下,COPDと略す)患者に関する研究が多く,これらの患者の経口摂取不足や代謝異常等による栄養障害や体重減少が報告されており2-7),これは患者の予後に影響するとされている8-9)。また,COPD患者およびHOT患者は食欲不振,食事中の咳やむせ,食後の息苦しさおよび腹部膨満感,においや味の変調等,食事に伴う諸症状がみられることが報告されている10-12)。しかし一方で,このように食事に伴う多くの問題を抱えるHOT患者が,自身の食事をどのように考えているのか,また食事に伴う諸問題にどう対処しているのかに関する研究は非常に少ない。元来,食事は生活の一形態であり,空腹を癒したり,栄養補給するだけでなく,嗜好の満足を得たり,社会的なかかわりをスムーズにするなど個人の心理社会面,さらに生活の質(QOL)に密接にかかわっている。HOT患者のQOL向上をめざした効果的な食生活支援のためには,HOT患者自身の食事に対する考え方や行動を理解することが不可欠である。
そこで本研究は,HOT患者のインタビューを質的に分析することにより,食事に関して多くの問題を抱えるHOT患者に特有な食事とは何か,また食べること(食事)をどのようにとらえているのか,その意味を探求することを目的とした。
The purpose of this ethnographic study was to describe the meaning of eating in patients receiving continuous home oxygen therapy (HOT). Twenty-five HOT patients with Hugh-Jones II to V grade participated in unstructured, tape-recorded interviews. For these patients eating constituted a key component of remedial action that they believed eases somatic symptoms and leads to cure. ‘Torment of illness’ and ‘unacceptable illness reality’ were two major factors that turned these patients to eating behaviors such as ritualistic eating. This remedial eating not only supported those patients' illness journey but also symbolized their wish for a normal life. The need for dietary intervention that respects those patients' values emerged from the data.
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