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1 .はじめに
臨床に身を置いている看護職は日々さまざまな悩みや葛藤に苛まれている。「私はどう行動すべきだろうか?」「大切なのはどちらだろうか?」「何を優先したほうがよいのだろう?」このような悩みや葛藤を解決するのに役立つのが看護倫理であり、看護倫理の知識や倫理的思考がこれらの悩みや葛藤をよりよい解決に導く。看護倫理の知識や倫理的な思考を学んだだけでは役に立たず、実践の学問である看護倫理は実践でこれを活用してこそ、その利益を享受できるのである。
しかし、この「知識を実践で活用するプロセス」はそのプロセスを進める当事者の思考過程でのみ存在するために当事者以外の目に触れることはない。この思考過程が可視化され共有されればその経験のない人でも解決策を導く一助となり、なにより実践知を蓄積することで看護倫理の発展にも大きく寄与すると考えられる。「看護倫理の成長を促す大事な要因に、『考える』『論じる』『対話』がある。この学会誌の「レター」はそのための場としてつくられた」と小西1が述べているように、この倫理的思考プロセスの可視化と共有、蓄積には無限の可能性があり、その共有の場として日本看護倫理学会誌のレターが準備されているのである。
翻って日本看護倫理学会の会員数とレターの投稿数をみると、会員数の増加とは裏腹に投稿数は伸び悩んでいる(表1)。
本学会は、「看護倫理の知の体系化をめざし、看護倫理に関心をもつ実践者・研究者・教育者の交流を支援するとともに、看護倫理に関する政策提言を行うことを目的」としており、学会誌は知の体系化と実践者・研究者・教育者の交流の要と言っても過言ではない。その目的達成のためにもレターをはじめとする論文投稿数を増やすことは喫緊の課題である。
投稿数が伸び悩んでいる要因として、本学会の会員は臨床に身を置く実践者が多く、論文作成という特殊なプロセスに馴染みがない会員が多いことが挙げられるかもしれない。さらに、論文の投稿に馴染みがないと査読のプロセスがわからず自分の論文がどう扱われるのか不安を感じる可能性もある。そこで、投稿プロセスを可視化し、査読の過程で編集委員や査読者として投稿された論文にどう向き合っているのかを情報提供したい、また、看護倫理学では実践者が実践知を学会誌に投稿することにこそ意味や価値があることを示したい、さらに、投稿を考えている人の生の声を聞いて論文投稿の環境改善に役立てたいとの想いから、日本看護倫理学会第9回年次大会にて「文章を書いてみよう!論文を書いてみよう!学会誌に投稿してみよう!」という交流集会を企画した。本稿では、参加者から好評であった交流集会の内容をさらに広く知ってもらうために内容を再構築し、会場から出た意見とともに紹介する。
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