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Ⅰ.緒 言
がん治療にともなう続発性リンパ浮腫(以下,リンパ浮腫)は,一旦発症すると難治性で一生付き合わなければならない.リンパ浮腫は,身体的な不快感,機能障害,ボディイメージの変容,抑うつを引き起こすだけでなく,性的関係,家族関係,対人関係への影響,社会での役割喪失,経済的な問題など個人のQOLに大きな影響を及ぼす1).リンパ浮腫の保存的治療の中心は,スキンケア,圧迫療法,圧迫下での運動,用手的リンパドレナージであり,浮腫の軽減に効果がある2)ことが明らかになっている.2020年には,上記4項目にセルフケア指導などを適切に組み合わせたケアが複合的治療料として診療報酬に算定され3),リンパ浮腫への対応の充実が期待されている.
リンパ浮腫は,発症早期から適切な生活指導・治療を行い,患者自らが病態を十分理解しセルフケアを習得して日々実践すれば,リンパ浮腫が進行していても浮腫の悪化を防ぐことができる4)といわれており,患者の特性やニーズに合わせたセルフケア教育,情報提供の重要性5)や,生活に取り入れるセルフケアの工夫の必要性6)が報告されている.一方,セルフケアの継続を阻む要因として,リンパ浮腫以外への関心が高い場合や,体調不良,弾性着衣の外観への抵抗感,複合的治療の複雑さや精神的苦痛,セルフケアの効果がみえないことへの意欲喪失などが報告されている7)〜9).また,セルフケア指導を行った後,セルフケア行動が時間とともに減っていった10)という報告もみられており,患者がどのようにリンパ浮腫を体験し,マネジメントに取り組んでいるかを知ることは重要である.
そこで今回,複合的治療を含むケアのもとで,リンパ浮腫の状態,セルフケア能力,自己効力感,QOLを観察し,リンパ浮腫の症状マネジメントの実態を明らかにすることとした.
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