資料
肝臓がん患者の体験と看護師の支援
池田 牧
1
,
稲吉 光子
2
Maki Ikeda
1
1鳥取県立中央病院
2北里大学看護学部
1Tottori Prefectural Central Hospital
キーワード:
肝臓がん患者
,
がんサバイバーシップ
,
リハビリテーション看護
,
liver cancer patient
,
cancer survivorship
,
rehabilitation nursing
Keyword:
肝臓がん患者
,
がんサバイバーシップ
,
リハビリテーション看護
,
liver cancer patient
,
cancer survivorship
,
rehabilitation nursing
pp.61-68
発行日 2010年5月25日
Published Date 2010/5/25
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- 文献概要
- 参考文献
Ⅰ.はじめに
日本は肝臓がんの発生頻度が高く,2005年の部位別がん死亡率の統計によると,特に男性では肺がん,胃がんに次ぎ12%と高く,今後も増加が予測されている1).また,日本における肝臓がんの約95%は,B型・C型肝炎などのウイルス性肝炎由来の肝細胞がんであり2),がんが多発・再発しやすく,再発のたびに治療を必要とする.このような肝臓がん患者の体験は,肝炎の診断,治療,がんの診断,再発と治療,終末期という経過をたどり,20〜30年という長期にわたる.このプロセスは肝臓がん患者に特有の体験であり,苦悩を伴うが自分なりの意味付けを行っている3)4)ことが報告されている.
また,今日「生ある限りがんとともに生きる」というがんサバイバーシップの概念5)が広まり,その重要性が認識されている.筆者らは,長期経過をたどる肝臓がん患者にこそ,患者の体験を包括的にとらえた,がんサバイバーシップの観点を生かした看護が必要と考える.「がんサバイバーシップのもとで必要とされるものはリハビリテーションである」と遠藤が述べているように6),肝臓がんサバイバーシップに基づいたリハビリテーション看護の明確化が重要である.また,リハビリテーションは疾病とは別に,障害を①心身機能と身体構造,②活動,③参加の特徴に分類して評価するように変わってきており7)8)あらゆる人に必要なものと認識されるようになっている.そこで今回,がんサバイバーシップの観点から,リハビリテーション看護の基礎となる肝臓がん患者の体験と看護師の支援内容を明らかにすることを目的に研究を行った.
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