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研究報告
造血細胞移植の治療過程にあるがん患者の情報ニードと情報探求行動の分析—造血細胞移植前に焦点をあてて
Analysis of Information Needs and Information-Seeking Behaviours of Patients Undergoing Hemapoietic Cell Transplantation: Emphasis on the Period Prior to Hemapoietic Cell Transplantation
高橋 奈津子
1
,
雄西 智恵美
2
Natsuko Takahashi
1
,
Chiemi Onishi
2
1東海大学健康科学部看護学科
2徳島大学医学部保健学科
1Department of Nursing, School of Health Sciences, Tokai University
2School of Health Sciences, The University of Tokushima
pp.38-43
発行日 2007年12月28日
Published Date 2007/12/28
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Ⅰ.はじめに
造血細胞移植は,多様な造血細胞源が利用されドナーの範囲も拡大されつつあり1),治癒を期待する患者やその家族に希望や恩恵をもたらしている.しかし,平成16年度全国調査報告書によると成人患者の5年生存率は,白血病が46.7%,リンパ腫が51.4%と厳しい2).治療過程で生じる副作用やGVHD(移植片対宿主病)などの重大な合併症の問題もあり,造血細胞移植患者が再発や死への不安をもちつつ,病気や治療,将来に対しさまざまな不確かさを抱きながら治療に臨んでいる3)4)のが実情である.このように造血細胞移植患者は,不安の中で意思決定を余儀なくされ,移植後の合併症,身体回復や病気に対する不確かさや脅威など複合的な健康問題に対処していかなければならない.
一方,情報は人の思考を形成し,病気に対する認識や判断,問題解決をするうえで不可欠であり,患者が主導権をもって自分の健康のための行動を起こすこと,セルフケアを遂行するための鍵が「情報」にあると言える.
したがって,造血細胞移植患者が,セルフケアの方向性を決定する思考の基盤となる情報に対するニードや探求行動を明らかにすることは,造血細胞移植患者の主体的な療養生活を支える情報提供のあり方の指針となる.そして,情報提供のあり方を明示することは,造血細胞移植患者が,がんと共に長い人生を生きるための看護支援の役割や意図の明確化にも貢献できると考える.
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