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Ⅰ.はじめに
がんサバイバーシップの新しい潮流の中で,わが国においてもサポートグループ(Support Group:以下,SG)やセルフヘルプ・グループ(Self-Help Group:以下,SHG)といったグループによる支援が注目されるようになってきた1).専門職者主導のSGに対して,SHGは,同じ悩みや困難を抱える当事者同士が相互作用を通して課題を乗り越えることを目指す自発的な集まりである2).がん体験者のSHGに関する海外の研究では,情緒面での効果3)〜5)が明らかにされているが,その一方では誤った情報3)やメンバーの死が及ぼす影響4),会の運営や継続性の困難さ4)5)など,当事者主体の活動であるがゆえの問題も報告されている.このような現状からSHGと専門職者の双方が関係を持ち続けることを望んでいるとの調査結果6)もあり,最近では専門職者との関係や支援の方向性に関する研究に関心が寄せられている7)〜9).
がん体験者や家族のSHGは,日本では患者会や家族会,自助グループと呼ばれ,古くから存在していた.しかし小規模な会まで含めるとその全体像を把握するのは難しく10),活動の現状やメンバーのニーズに関する系統的な研究11)はまだ少ない.SHGの支援方法に関する研究に至ってはほとんど行われていないのが現状である.
SHGががん体験者や家族の多様なニーズに応えられる会へと成熟していくためには,活動を継続して存在し続けることと,より活用しやすい方向へと活動を発展的に変化させたり,外部に向けて働きかけるなど,活動の活性化を図ることが必要であり,その実現には専門職者の支援が役立つと考える.そこで本研究では,長年にわたりがん体験者と家族のSHGであるA会にサポーターとして参加してきた研究者らの体験をもとに,SHGの継続と活動の活性化に役立つ要素を明らかにすることを目的とした.本研究は,がん体験者や家族のSHGに対する理解を深め,専門職者による支援の方向性を検討する一助になるものと考える.
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