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Ⅰ.はじめに
がんによる死亡者数は年間30万人を超え1),主要死因の中でも増加傾向にある.がん患者の看取りの場は緩和ケア病棟,在宅へと広がりつつあるものの,まだ一般病院であることが多い.このことは一般病院で働く看護師ががん患者を看取る機会が多いことを示している.一般病院にはあらゆる健康レベルの患者が入院しており,告知,疼痛,不安,そしてスピリチュアルペインに対するケアなどの専門的ながん看護が行われにくい.先行研究においても看護師は終末期がん患者と接する時間が少ないことへジレンマやストレスを強く感じているという報告がある2,3).終末期がん患者にかかわる看護師の体験に関する研究は,Rasmussen4)らが看護観とケア行動を抽出し,菅原5)・Rittman6)が5年以上の経験を持つ看護師の体験を意味づけた結果得られる実践知と影響要因を明らかにしたが,いずれもがん専門病院の看護師を対象としていた.また,一般病院では,看護師の感情や意識の変化に焦点を当てた調査研究7,8)が行われているにすぎず,看護体験を意味づけた内容を明らかにした研究は少ない.
他者との関係性の中で体験を意味づけることは自己意識や考え方に影響を及ぼし,相互関係を発展させると同時に関係性のあり方そのものを学ぶといわれている9).そこで本研究は,終末期がん患者とかかわることの多い一般病院に焦点を絞り,そこで働く看護師が終末期がん患者との看護体験をどのように意味づけているか,その構成要素を明らかにすることを目的とする.体験を意味づけるパターンが明らかになることは看護師のメンタル面や知識面にアプローチしやすくなり,看護師が患者・家族とケア関係を構築するための一助となりうる.
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