発行日 2003年3月15日
Published Date 2003/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7004100134
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今から約10年前のことである.ある高齢の就床患者の〈身体可動性障害〉と関連因子を検討する機会があった.この患者についていえば,1人で立てない,あるいは歩行できなくなった,という状態に対する有効な看護行為は,筋力アップを図ることであると判断することができた.そこで,筋力低下は複雑な関連因子の1つであると考えた.しかし『NANDA看護診断定義と分類1992-1993』を照合すると,筋力低下は診断指標に含まれていることがわかり,その指標に疑問を感じた.
実は〈身体可動性障害〉という看護診断カテゴリーは,1980年にNANDAにより初めて承認されている.これは,米国のクリティカルケア領域の看護師によって,重症な外傷患者との関連性が高い看護診断として提案され,NANDAによって臨床テストのために承認されたものである.その後実施された診断内容妥当性の研究によると,少なくとも高齢者の筋・骨格,神経・筋などに関連した〈身体可動性障害〉においては,筋力低下は診断指標として支持されなかった.そのようないくつかの研究によるエビデンスに基づいて,NANDAは『NANDA看護診断定義と分類2000-2001』版の改定で,筋力低下を〈身体可動性障害〉の関連因子に含めた.
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