第23回日本腎不全看護学会・学術集会記録 【教育講演】
看護を明文化する—看護とは? と問われたら
江川 隆子
1
1関西看護医療大学
pp.5-12
発行日 2021年4月30日
Published Date 2021/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7003200227
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I.はじめに
日本腎不全看護学会(以下,当学会と略す)は,1998年に設立されて以来,透析看護の専門性を追求してきた.その過程で,透析における看護の専門性について看護診断を軸に検討することが提案された.そして,2004年11月に透析看護領域における〈看護診断プロジェクト〉の検討会が理事会・評議員会で承認され,研究委員会と教育委員会との合同で検討が進められてきた.私は,今回の教育講演のテーマである「看護を明文化する」ことは,この〈看護診断プロジェクト〉から始まったと信じている.現在,当学会のこの目標は,慢性腎不全から移植,透析等と幅を広げているが,透析看護の明文化が検討された時から,我々の看護に対する明文化は始まっていたと考えている.
「質の高い看護を実践する」ためには,まず何よりも人間として,看護師としての哲学・倫理感がそれぞれの看護師のバックボーンになくてはならない.同時に,そうした哲学・倫理を具体的に,科学的根拠をもって実践できることである.そして,それぞれの実践の記録を論理的に記述することが重要である.看護観の原点は看護大理論である.では,看護の明文化の原点はなんだろうか.私は,日本であれば1948年に制定された「保健師助産師看護師法」(以下,保助看法と略す)であると考える.
本稿では,看護師の思想・哲学・倫理などの原点としての「看護大理論」,看護師の援助を規定する「保助看法」,さらに看護をより科学的に説明し,看護の専門性を表すものとしての「看護概念(看護診断)」について述べる.さらに,当学会の追求する学問の1つである「透析看護における看護の明文化」について,以上4点について私論を述べる.
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