第11回日本糖尿病教育・看護学会学術集会報告 ●シンポジウム
科学的根拠に基づく糖尿病医療の推進と糖尿病教育・看護の標準化
大橋 健
1
Ken Ohashi
1
1東京大学医学部附属病院糖尿病代謝内科
1Department of Metabolic Deseases, The University of Tokyo Hospital
pp.74-80
発行日 2007年3月15日
Published Date 2007/3/15
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はじめに
糖尿病の病態解明と根治に向けた研究の進展や治療に関するエビデンスの集積は著しく,ゲノム研究やナノテクノロジーの進歩とあいまって,糖尿病の医療や療養生活に明るい未来を映し出している.一方で糖尿病患者は世界的に増加の一途をたどり,わが国の糖尿病患者は740万人を超え,高脂肪食や運動不足など欧米型生活習慣の浸透により,網膜症・腎症・神経障害に加えて心筋梗塞や脳血管障害など大血管症の合併がクローズアップされてきた.このことは,糖尿病をとりまく医療のさらなる進歩や質の改善が急務であることを意味している.
今最大の課題は,最先端の研究成果や治療に関するエビデンスが実際の糖尿病診療の向上に十分結びついていない,つまり個々の患者に届いていないことではないだろうか.本稿では,医学的管理における標準化の動きを概観しながら,糖尿病患者教育・療養支援における標準化のあり方について私見を述べたい.
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