第8回日本糖尿病教育・看護学会学術集会報告 ●シンポジウム
自己効力理論とエンパワメントモデルを活用したかかわり方―看護教師の立場から
安酸 史子
1
Fumiko Yasukata
1
1福岡県立大学看護学部
1Faculty of Nursing, Fukuoka Prefectural University
pp.73-76
発行日 2004年3月15日
Published Date 2004/3/15
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Ⅰ.なぜ糖尿病教育に心理的アプローチが必要なのか
糖尿病患者教育に携わっている療養指導者は,まず第一に,一般的な糖尿病に関する知識・技術をもっていることが必要であるが,さらにその患者の個別の病態,病期,心理状態,社会的状況,健康信念,生活パターンなどに応じた,その患者用にあつらえた(tailored)知識・技術をもっていることが重要となる.そのうえで,そうした知識・技術をどのように教育方法のなかに組み込むかが,療養指導者の力量として求められてきている.
従来,療養指導者は患者教育に必要な正確な知識と技術をもっていればよしとされ,その習得に励んできたが,それだけでは糖尿病患者の行動変容が必ずしも期待できないことが実践を通して,また研究を通して明らかになるにつれ,心理的アプローチに注目が集まってきた.療養指導者が心理的アプローチの手法を身につけることは,糖尿病患者だけでなく,療養指導者のためにも必要だと考えている.
心理的アプローチのなかでも,近年注目されている自己効力理論とエンパワメントモデルを活用したかかわり方について,やる気を促す患者教育のアプローチについて概説する.
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