焦点 健康教育とヘルスプロモーション
糖尿病患者教育と自己効力
安酸 史子
1
1岡山県立大学保健福祉学部看護学科
pp.473-480
発行日 1997年12月15日
Published Date 1997/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900424
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はじめに
糖尿病はわが国において国民病と言われ,現在日本における糖尿病患者は600万人以上,境界型を加えると1,000万人以上が糖尿病患者かその予備軍と言われている。糖尿病は慢性疾患の中でもその治療が食事療法・運動療法を中心とする患者の自己管理に多くを依存しているという点で特異な疾患である。自己管理の中でも,食事管理は,合併症の発症を予防または進行を遅らせるために,初期の患者から合併症が進行した重症糖尿病患者までのすべての糖尿病患名に必要である。糖尿病の食事療法は質的には特別の制限はなく「健康食」と言われているものの,量的には明らかに制限があり,特にインスリン非依存型糖尿病(NIDDM)の人は生来,食欲求が普通の人よりも強いと自覚している人が多い(掛橋ら,1995;1996)ため,食事自己管理を一生続けていく上での糖尿病患者の心理的負担は大きいと考えられる。また,多くの糖尿病患者に自覚症状が出現しないことが,自己管理行動の持続をさらに困難にしている。そのため,糖尿病の患者教育プログラムは,他の疾患に比べ系統的に整理されてきているにもかかわらず,食事自己管理不良のために血糖コントロールの悪い患者が多く存在しているのが現実である。
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