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いまだに過去のものとなっていないCOVID-19は、社会を変え、人々の行動様式に大きな変化をもたらした。その中で、看護系の学会も年次大会(学術集会)の開催形式をいろいろと模索してきた。パンデミックにより突然われわれに3密回避が課せられた最中の第13回年次大会(2020年5月)は、誌上開催とならざるを得なかった。この間に、看護教育に携わる私たちも対面型の会議から遠隔会議へと仕事の仕方が変わっていき、たとえばZoomやGoogle Meet、Microsoft Teamsなどのサービスを身近なものとして活用するようになってきた。その真っ只中の第14回年次大会では、演者が自宅や研究室に居ながらにしてライブで講演をする、また、演題発表(口述)については視聴者(参加者)が画面上の手挙げ機能を用いて質問を伝え、それにまったく別の場所にいる座長や発表者が答えるというやり取りに大変驚いたことを思い出す。このように学会会場に足を運ばなくても演題発表ができ、各種講演に参加できるという新たな学会の開催形式が確立した。ただし、古風な人間である筆者は、それにちょっと物足りなさを感じていた。大勢が集う年次大会での熱気を感じられないこと、仲間と再会してつまらない愚痴を聞いてもらう時間をもてないことなどに。確かにただ顔を見るだけならモニター越しでもできるし意見交換もできる。でも、リアルに対面するときの数十cmの距離感が、仲間としての信頼感の維持にもつながると信じている。普段あまりお付き合いのない先生と会場ですれ違うことがあるが、その偶然の出会いが案外その先生に対する親近感に寄与していたことに気づかされる。オンラインの世界とリアルな世界にはそのような違いがあるのだろう。
そこで、COVID-19に収束の兆しの見えてきた2022年5月の第15回年次大会(沼津大会)は、現地開催を主体としてオンライン配信を組み合わせたハイブリッド形式で企画した。その結果については本年度の社員総会でも報告させていただいたとおり、一度に1,000〜1,500名の参加者が感染対策上の十分な距離を取って収容できる会場を用意したが、来場者数は200名程度にとどまり閑散とした大会になってしまった。オンライン参加と併せても700名余にとどまった。ある関係者からの話では、当時まだ医療機関の中には職員の行動制限を求めるところもあった模様で、少し先走りしすぎたのかも知れないと思うとともに、振り返れば、私達自身の学会参加行動そのものが変化していることも一因として挙げられよう。当学会に限らず学会の年次大会(学術集会)は、毎年開催地を変えて行われる。したがって、参加するには新幹線等での移動、時には飛行機での移動も必要になる。しかし、オンライン参加なら自宅や研究室に居ながらにして、講演を聞いたり演題発表への質問をしたりすることができる。ただ興味ある情報を得るためだけなら、時間と移動経費が大いに節約できるのである。ディスカッションが主体の学会ではすでに現地参加型に戻っているところもあるようだが、情報収集型の学会では、オンライン参加はたしかに手軽な参加方法になっている。
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