◆特集 臨床実習を考える
作業療法士の長期研修計画を考えよう—仕事と人生を愛し続けられるために
茂原 直子
1
1南大阪療育園
pp.302
発行日 1996年8月15日
Published Date 1996/8/15
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- 文献概要
臨床実習生に直接指導するという場面は減少している昨今であるが,雇用の対象としてどうかという管理職の視点と,発達障害領域の作業療法士の養成過程の効率が向上しているかどうかという視点では年々興味深く注目している.
自分が就職してから17年間の当園における作業療法士の採用は29名で,そのうち16名が退職した.特に最初の5年間の採用者は10年以内で退職し,一人も残っていない.その頃は直接採用に関与したわけではなく,部門の運営や教育に責任をもっていたわけでもなかったが,その自分自身の意識の低さも含めて反省すべき点が多い.発達障害領域の作業療法を展開していく上で,さまざまな技術の獲得過程がある.自分なりに見通をもって卒後研修を継続させることはなかなか困難な状況であった.退職者の過程から多くを学び,一年一年教育研修過程や業務体系を見直してきた.徐々に卒後研修の形態も変化し,業務の段階づけのイメージも明確になってきた.中途退職が悪いことではないが,施設がその人物に期待し,経済的・物理的援助によって養成するということは,その結果がその個人だけの問題ではなく,そのまま作業療法科,作業療法士全体の評価にもなるということも痛切に感じてきた.
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