連載 悩めることも才能だ!―宮子あずさのお悩み外来⑩
自己を見つめるほどに,仕事を続けるのがつらくなります
宮子 あずさ
1
1東京厚生年金病院
pp.952-953
発行日 2006年10月1日
Published Date 2006/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100647
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- 文献概要
私はいわゆる被虐待児でした.幼いころに両親の暴力を受け,自分は生きていてはいけないのではないか,生きる意味はないのではないか思いながら育ってきました.だからこそ,誰かの役に立つことで生きる意味を見つけたい,自分は必要な人間だと思いたい.そんな思いが,私をこの仕事に駆り立てたのだと思います.
看護師になって数年がたち,確かにやりがいはあります.患者さんやご家族に感謝されたときはとてもうれしいです.でも,感謝されなかったり,不満をぶつけられたりしたときは,とても落ち込んでしまいます.それどころか,逆に,「こんなにやってあげてるのに,なぜ?」と怒りさえ湧いてしまいます.
よく考えてみると,自分の存在証明のために看護職であることは,苦しんでいる患者さんを利用していることになります.だからこそ,思うような反応が返らず,自分の存在証明が得られなかったときに,相手を排除したいと思うのでしょうね.―ここまで自己分析してほとほと嫌になってしまいました.私には看護職である資格がないような気がします.(27歳・女性)
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