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◆ケーススタディ
記憶を呼び戻したピアノの役割—自殺未遂後記憶を失った分裂病患者の場合
The Effects of 'Piano Play' for Recovering Repressed Memory : A Schizophrenic Patient with Lost His Memory
山根 寛
1
Hiroshi YAMANE
1
1京都大学医療技術短期大学部作業療法学科
1Kyoto University, College of Medical Technology
キーワード:
精神分裂病
,
記憶障害
,
音楽
Keyword:
精神分裂病
,
記憶障害
,
音楽
pp.327-335
発行日 1991年10月15日
Published Date 1991/10/15
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要旨:作業活動にともなう運動やそれから起こる深部感覚刺激,素材や道具から受ける皮膚感覚刺激への反応は,人の生育過程における体験と深い関わりがある.それが幼少時に快の体験として記憶されたものであれば,なじみのある感覚として,また言語的知的な認知を必要としない刺激として,人の記憶や情動に直接作用すると考える.ピアノを弾くという作業活動の,脳機能モデルに基づいた固有の仮説機能を示し,その固有の機能と個人にとっての力動的意味が,記憶の回復に果たした相互作用について,症例を通して考察した.症例は,入院中自殺を図り,身体障害と失語症に併せ,事故以前の全ての記憶を失い,幼少時より習ったピアノをきっかけに記憶を取り戻した分裂病の男性である.
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