◆特集 作業療法でとらえる対象者の問題
何を基準に作業種目を選ぶのか—長期在院分裂病者を中心として
須崎 進
1
1昭和大学付属烏山病院
pp.34-43
発行日 1984年8月15日
Published Date 1984/8/15
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はじめに
精神科作業療法は,精神科リハビリテーション(以下Reh)の一環としつ,その一翼を担う機能をもち,諸々のReh活動と関連しながら病者に寄与するものである。そして,具体的な活動になると,作業療法は広範囲な活動を包含し,また,各々の医療スタッフが,病者に多角的なアプローチを加える。しかも精神障害者を単なる疾病をもった人として把えるだけの理論的裏付は未だ確立していない。ゆえに,一人の人間としてアプローチするという視点が一方で存在する。したがって本テーマを論ずる場合必ずしも明確に作業療法が見る対象者の問題として把えられない部分が多々でてきよう。
筆者は多くの精神障害者と接してきたが,何はともあれ一番多くの経験は分裂病に対してである。しかし,ただ経験があるというだけで一番難しいとされる分裂病をとりあげることは,いささか勇気がいるが,それら問題点について概括してみることとする。なお,今迄多くの経験が長期分裂病者であったことから,その部分に焦点をしぼることとしたい。
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