◆特集 作業療法を考える
何を基準に作業種目を選ぶのか
伊藤 利之
1
1横浜市民生局 総合リハビリテーションセンター建設準備室
pp.20-21
発行日 1984年2月15日
Published Date 1984/2/15
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作業療法とは“作る業”を一つの方法とした治療法であるが,これらの手作業は人間のみがなしえる業であり,高度に発達した脳機能が要求される方法である。それ故,精神機能の低下した脳障害者に対しては,多くの場合単純な作業を選択せざるをえず,その内容は身体機能よりも精神機能によって規定される。
しかし,発達途上にある子どもはともかくとして,老人については必ずしも精神機能が低いからと,それだけで判断することは危険である。いうまでもなく人にはそれぞれの歴史があり,その経験の中で育くまれた世界観は,精神活動が低下したからといって容易に変るものではない。子どもじみた単純作業を処方すれば,かえって訓練意欲を失わせる結果を招くであろう。
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