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はじめに
前腕の回旋運動は,近位および遠位橈尺関節(distal radioulnar joint:DRUJ)により構成される特殊な運動であり,橈骨頭から尺骨遠位端を結ぶ長い回旋軸を有している.前腕の回旋拘縮は外傷後に発生しやすく,その制限因子としては骨の変形癒合,骨間膜,関節包,筋の短縮などの影響が考えられ,これらが混在することが多い.前腕の回旋拘縮が発生すると洗顔や机を拭く,おつりを受け取るなどの動作が障害され,回内にかかわる日常生活動作(activities of daily living:ADL)は肩関節にて代償は可能であるが,回外については体幹が制限となり代償動作が困難となるためADLに大きな支障をきたす1-5).
前腕回旋拘縮に対してはリハビリテーション治療が選択されることが多く1),セラピストによる可動域訓練の他,スプリント療法ではColello-Ablahamが考案したダイナミックスプリントをはじめ,多数の改良型の有用性が報告されている6-9).しかし,これらの改良型はパーツも多いため製作には熟練と時間を要し10),臨床において迅速に装着することは困難である.
われわれは,製作が簡便で,軽量でかさばらず,負荷を調節しやすいスプリントを考案した.本スプリントを橈骨遠位端骨折後の前腕回旋拘縮に対して使用し,改善が認められた1症例を経験したため報告する.なお,今回の報告に際し患者より書面にて同意を得ている.
Abstract Post-injury rotation contractures of the forearm significantly interfere with various activities of daily living, such as washing the face, receiving change, or wiping a desk, and cause distress to patients. The Colello-Abraham dynamic pronation-supination splint is useful for rotation contractures of the forearm;however, the device includes several small parts and a complicated structure, and assembling the appliance requires technical expertise. Here, we report a case of rotation contracture of the forearm that improved following the use of a simple dynamic splint.
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