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第8回リハビリテーション先端機器研究会(大会長:東京大学 緒方徹先生)は「先端機器が拓く機能向上の可能性」をテーマとして,第59回日本リハビリテーション医学会学術集会(2022年6月23〜25日)の2日目である6月24日午後にパシフィコ横浜ノースの第3会場で開催された.現地+webのハイブリッド開催であったが,今年は現地参加者もだいぶ増え,座長,シンポジストともに全員会場にそろうことができた.
シンポジウムでは,最初に秋田大学整形外科の木村竜太先生が「FESを併用した歩行訓練リハビリテーションロボットAkita Trainer」について講演した.機能的電気刺激(FES)は秋田大学が1990年から取り組んでいる研究テーマであり,Akita Trainerは初号機を片麻痺,2号機は脊髄損傷による対麻痺を主対象として開発されている.機械学習によりロボットトルクは自動調節が可能であるため,麻痺の程度に応じた自身の筋トルク,FESにより発生する筋トルク,ロボットトルクを組み合わせた歩行訓練を行うことも可能となっている.続いて,国立病院機構新潟病院脳神経内科の中島孝先生から「HAL®医療用下肢タイプの最新アップデート」の講演があった.HAL®は装着型サイボーグとしてすでに8つの緩徐進行性の神経筋疾患に対して保険適用が認められている.HAL®の介在により脳神経系と筋骨格系の間で構成されるインタラクティブバイオフィードバックによる情報伝達と運動現象が反復可能となり,機能改善・機能再生が促進されると考えられている.講演ではHAL®医療用下肢タイプの性能と臨床についてアップデートされた最新情報を解説いただいた.3番目の講演は鹿児島大学大学院医歯学総合研究科リハビリテーション医学の下堂薗恵先生による「医工連携および産学連携による上肢リハビリテーションロボットの開発とその臨床応用」であり,産学連携によって開発された上肢リハビリテーション装置と前腕回内回外リハビリテーション装置の紹介があった.両機器ともに患者の麻痺やパフォーマンスに応じて主動筋に対して運動と同期させた電気刺激や機能的振動刺激の選択や組み合わせが可能である.最後の講演は,本原稿の筆者の加賀谷が「上肢に対する反復性末梢磁気刺激」と題して,電気刺激よりも疼痛が少ない磁気刺激の利点を生かした肩関節亜脱臼への臨床応用や,新たに開発中の小型の磁気刺激装置について発表した.その後,座長である兵庫医科大学の内山侑紀先生,東京大学医学部の緒方徹先生の司会でディスカッションが行われた.
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