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令和3年度論文賞 学会誌最優秀論文賞・国際誌最優秀論文賞受賞に寄せて
小関 弘展
1
,
松垣 竜太郎
2
1長崎大学大学院医歯薬学総合研究科保健科学分野
2産業医科大学医学部公衆衛生学講座
pp.1061
発行日 2022年10月18日
Published Date 2022/10/18
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- 文献概要
学会誌最優秀論文賞を受賞して
このたびは,栄誉ある学会誌最優秀論文賞に選出していただき,驚きとともに大変光栄に存じます.本医学会および国内誌編集委員会委員の先生方,この研究にご協力いただいた方々,興味をもって論文を読んでいただいた先生方皆様に心より感謝申し上げます.
骨組織は外部からの力学的負荷によって強度を維持しています.今回の論文は,骨にかかる力学的負荷を「荷重」と「関節運動(筋収縮による牽引力)」に分け,後者が骨組織に与える影響について動物実験で検証いたしました.その結果,関節不動4週後には大腿骨骨幹部の最大曲げ応力が約16%,骨幹端部の最大圧潰荷重値は不動1週で約30%低下しており,関節不動化が比較的早期に骨脆弱化を惹起する可能性を示唆することができました.近年,骨格筋と骨の生体力学的,生化学的リンク(クロストーク)が再認識されており,高齢者の骨粗鬆症対策の1つとしても注目されています.40cmからの片脚起立がままならないロコモティブシンドローム予備軍の私としては身につまされる思いですが,この論文の知見が運動器リハビリテーション医療,整形外科医療,老年医学の分野で少しでも活用されることを切に願っています.今回の受賞を励みとして,今後も本医学会の発展に貢献できるような質の高い研究に精進したいと考えています.
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