リハニュース【Topics】
平成29年度論文賞 学会誌最優秀論文賞・国際誌最優秀論文賞受賞に寄せて
福村 直毅
1
,
三浦 美佐
2
1健和会病院リハビリテーション科
2筑波技術大学保健科学部
pp.956
発行日 2018年11月16日
Published Date 2018/11/16
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- 文献概要
このたびは思いもかけない日本リハビリテーション医学会論文賞「最優秀賞」をいただき誠に感謝いたしております.回復期リハビリテーション病棟が発展し増床していくうえで重度障害者管理が重大な課題になっています.特に,重度障害者は肺炎やその他の炎症性疾患などで急変し回復が阻害される割合が多いために入院対象とされにくい現状があります.私たちは,まず急変患者中最多だった嚥下性肺炎の根絶に挑みました.そして完全側臥位法の発見で肺炎発生率を激減させることができました.次のテーマとして取り組んだのが炎症性疾患全般の抑制でした.内外傷弁惑論を学び,補中益気湯の効果を検証したいと予備的研究を計画実施し,炎症性疾患を抑制できる可能性を見出しました.主研究にあたって質の高い漢方研究方法として多施設ランダム化比較試験を採用,多くの先生方にご協力いただき完成することができました.
補中益気湯服用にて炎症性疾患の発生を抑制できれば回復期リハビリテーション病棟だけではなく地域包括ケア構想のもと在宅や施設に早期退院する患者の合併症率低下に寄与できる可能性があると考えています.漢方薬は経験に裏づけられた優れた治療である一方で,客観的なエビデンスに乏しいことが普及を妨げているようにみえます.補剤を中心とした漢方薬治療のエビデンスがさらに蓄積されることを望みます.
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