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今回,名誉ある日本リハビリテーション医学会最優秀論文賞をいただき,誠にありがとうございます.2015〜2017年の3年間,日本損害保険協会の助成を受け全国7つの高次脳機能障害支援センターや拠点機関と共同で,小児期発症の高次脳機能障害者の青年期に至るまでの課題の調査と,ライフステージに沿った支援プログラムの提言を行ってまいりました.今回受賞しました論文はその中の1つの成果をまとめたものです.この実態調査より,小児期発症者では診断や支援開始までに長期間を要した症例が多いこと,復学や進学後の高校,大学などでの中退率が高いこと,就労後も家族への経済的負担が高いことなどが明らかになりました.そして,同時に当事者,家族が障害を正しく認識することが,その後の社会活動を行うにあたりきわめて重要であり,そのための支援プログラムの必要性を痛感しました.この研究を機会に富山県高次脳機能障害支援センターでは小児期発症者の家族会の定期的開催,当事者の子どもたちやその兄弟を対象とした“キッズ・プログラム”の開催,保護者を対象としたピアカウンセリング事業,小児高次脳機能障害チームの立ち上げ,教育機関との連携体制の整備などを行ってきました.今後は,支援プログラムのさらなる進化をめざしたいと思っております.
最後になりましたが,この研究は共著者である5名の先生方と所属機関の多くの職員の皆様の多大なるご尽力の賜物であり,御礼申し上げますとともに,この研究に快く賛同,協力いただきました当事者,家族の皆様方に心から感謝申し上げます.また,論文執筆にあたり統計学的手法などに多くのご助言,ご指導をいただきました木村剛先生(金城大学社会福祉学部准教授),日本リハビリテーション医学会編集委員会の先生方に深謝申し上げます.
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