令和4年度論文賞 国内誌最優秀論文賞・国際誌最優秀論文賞受賞に寄せて

　このたびは，国内誌最優秀論文賞に選出していただき，心より感謝申し上げます．本研究を指導してくださいました先生方，研究データの取得や解析に協力してくださいました先生方やリハビリテーションスタッフの方々に厚く御礼申し上げます．

　私は，10数年前より脳損傷者の自動車運転再開について，どのように支援すれば安全に交通社会に復帰できるのかを研究し，普及活動を行ってまいりました．そのなかで，高次脳機能障害を有する脳損傷者の運転再開支援には，机上検査だけでなく，ドライビングシミュレーターなどにより実際の運転状況を確認することが重要だと考えておりました．これまで，安全運転には多くの高次脳機能が必要であるといわれておりましたが，それを証明する報告はありませんでした．本報告では，机上検査にて一定以上高次脳機能が保たれている脳損傷者200人以上に対し，最終的にドライビングシミュレーターで運転可否判断を行ったところ，多くの高次脳機能評価で有意差を認めたことを報告しました．