連載 古今東西 見逃せない研究論文・書籍・第16回
Clean, Intermittent Self-catheterization in the Treatment of Urinary Tract Diseases : Lapides J, Diokno AC, Siber SJ, et al:J Urol 1972;107:458-461
住田 幹男
1,2
1社会医療法人愛仁会愛仁会リハビリテーション病院
2日本リハビリテーション医学会
pp.498
発行日 2019年6月18日
Published Date 2019/6/18
- 販売していません
- 文献概要
■ 意義
CICからSICへ.厳格な無菌的操作間欠導尿(CIC)から,清潔操作による自己間欠導尿法(SIC)を重視.
■ 要旨
Guttmannの無菌的操作は訓練を受けた専門職の手技を必要とし,米国では普及せず欧州のせき損センターを中心に行われている.筆者らはCampbellのカテーテルの「透析無菌的操作よりもむしろ膀胱過伸展こそが恐れられるべき」との見解を重視している.最初のトライアルは,1970年,多発性硬化症の女性で,切迫性の尿失禁,膀胱の残尿が多く,繰り返し尿路感染を起こしていた症例で,上位,下位ニューロンの障害があり,種々の手術を受けるも効果なく,残尿が120mLあった.女性はいかなる手術的な方法を拒否.手始めに2〜3時間置きに膀胱カテーテルで排尿,夜間も数回排尿,さらにPro-banthin(プロバンザイン)を15mg4時間ごとに処方した.手指は石鹸と水で洗い,砕石位で導尿を指導,看護師によって,鏡で尿道口を確認してカテーテルを挿入,その後患者自身はトイレで座って導尿を自分の手でできるようになった.6カ月経過をみてから1971年3月より,女性12例,男性2例(年齢3〜65歳)に同様のSICを行った.対象は,多発性硬化症,脊髄低形成,脊髄髄膜瘤,癒着性くも膜炎,馬尾神経脂肪腫であった.
Copyright © 2019, The Japanese Association of Rehabilitation Medicine. All rights reserved.