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2013年9月7日,ブエノスアイレスで開催された国際オリンピック委員会総会において,2020年に東京でオリンピックとパラリンピックが開催されることが正式に決定した.オリンピックと同様,日本で開催される2回目の夏季パラリンピックとなる.最初に日本で開催されたパラリンピックは,1964年の東京オリンピックの年に東京で開催されている.実は,このパラリンピックは,第1回のローマ大会に続く第2回大会であり,パラリンピックという名称も日本で考案されている.ちなみにパラリンピックという言葉は,もともとはパラプレジアとオリンピックを合わせて作った言葉であるが,現在はパラレルとオリンピックを合わせた「もう1つのオリンピック」という意味で使用されている.この東京で行われた第2回大会から約半世紀ぶりに再び,東京でパラリンピックが開催される.2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて国民の関心が高まっている今こそ,障がい者スポーツを振興させ発展させる絶好の機会である.
日本リハビリテーション医学会では,inclusive society(寛容社会)の実現を目指した社会貢献の1つとして,「障がい者スポーツの振興やパラリンピックへの貢献」を掲げている.もともと障がい者スポーツは,治療スポーツとして障がい者の機能回復を行うリハビリテーションの1つとして,イギリスのストークマンデビル病院のグットマン博士が取り入れたことから始まっている.リハビリテーションとしての障がい者スポーツを通して多くの障がい者が社会復帰を果たした.さらに障がい者スポーツは社会復帰を果たした障がい者の健康維持増強のための生涯(健康)スポーツへと広がり,近年では競技スポーツのレベルへと発展し,障がい者の生きがいの1つとなり,一部では職業(プロ)スポーツとまでなっている.障がい者スポーツは,障がい者の機能回復と活動の改善を図り,障害を克服し全人間的復権を進めるリハビリテーション医療において,その一部であるといっても過言ではない.つまり,われわれリハビリテーション科医がかかわっていくことは当然である.しかも,健常者と違いさまざまな医学的な問題を抱えている障がい者にスポーツを推進するためには,障がい者に精通しているわれわれリハビリテーション科医による医学的サポートが重要である.
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