リハニュース【Topics】
障がい者スポーツ・アスリート(1)
緒方 徹
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1日本リハビリテーション医学会障害者福祉委員会
pp.415-416
発行日 2016年5月18日
Published Date 2016/5/18
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- 文献概要
幅の広い障がい者スポーツ
2020年に56年ぶりに東京でパラリンピックが開催されることを受け,「障がい者スポーツ」への関心が高まる中,「障がい者スポーツ」が障がい者による活動のどの範囲を指すのか,場合によっては明確にする必要がある.特に2015(平成27)年にスポーツ庁が設置され,その根幹となるスポーツ基本法でスポーツとは「運動競技その他の身体活動」と記され,非常に広い範囲を示す言葉になっている.また,パラリンピックの父ともいわれるグッドマン博士は障がい者(当時,主には戦傷兵)のリハビリテーション(以下,リハ)の一環としてスポーツの重要性を説いている.リハにおけるスポーツの役割は,身体機能を高めるというだけでなく,競技を通じた他者とのかかわり,自己との対峙,そして達成感などの精神的側面やスポーツ実践による社会参加に寄与するものと考えられる.
実際,現在の日本において生活期(維持期)に行われる運動療法にも,他者と競うなどスポーツ的要素が取り入れられていることもあり,生活機能の維持向上を目指した運動から,国を代表した競技実践まで,すべてを含む障がい者スポーツの中で明確な区分をすることは容易ではない.むしろ,さまざまな機能レベルや環境にある障がい当事者が,この連続したスペクトルの中に存在することを意識することが重要である.また,スポーツのレベルは違っても,障害に必ずしも違いはないことは特に意識する必要がある.
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