リハニュース【Topics】
ニューロリハビリテーション(2) その対象と治療手段の広がり
近藤 和泉
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1国立研究開発法人国立長寿医療研究センター
pp.240-241
発行日 2017年3月18日
Published Date 2017/3/18
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リハビリテーション(以下,リハ)医学の領域でニューロリハの概念が形成されたのは,実質的には第2次世界大戦以降である1).頭部外傷と脊髄損傷を受傷した多くの従軍兵が,抗生剤の発明により感染症での死を免れ,障害残存下で自立のための援助を必要としたことから,そのニーズが高まったとされている.その後,脳卒中でも急性期管理の改善により死亡率が低下し,さらにそのニーズを拡大させた.現在のニューロリハで主要な治療対象とされているのは,上記に加えて多発性硬化症,パーキンソン病,運動ニューロン疾患,筋疾患,末梢神経障害,脳性麻痺,ポストポリオ症候群などであるが,基本的に神経系のあらゆる病態に対応するのがニューロリハであるので,今後はさらにその領域を,発達障害や認知症などにも広げていくと予想されている.
神経系に対して直接働きかける治療がなかった1960年代には,皮膚への感覚刺激や関節位置覚を利用して,間接的に中枢神経系への働きかけを行い,痙縮を含む筋緊張や病的な姿勢反射を抑制する促通療法がさかんに行われた.しかし,促通療法で効果を維持できる時間は短く,運動学習を達成するところまでは至らないことが多かった.
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