巻頭言
ロボット・ビッグデータ・モノのインターネット(IoT),そして人工知能(AI)とシンギュラリティ
佐浦 隆一
1,2
1日本リハビリテーション医学会
2大阪医科大学総合医学講座リハビリテーション医学教室
pp.744
発行日 2016年10月18日
Published Date 2016/10/18
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- 文献概要
腹腔鏡視下手術に加えてda Vinci Surgical System®の保険適用が拡がるなど医療用ロボットは長足の進歩を遂げている.平成28年の診療報酬改定ではロボットスーツによる歩行運動処置(J118-4)の保険適用が認められたが,効果については百家争鳴で,エビデンス構築のためのデータ集積が始まったばかりである.一方で経済産業省や厚生労働省が導入を勧める介護ロボットは超高齢社会の社会保障費用の伸びを抑えるための介護支援型(介護者の負担軽減),自立支援型(高齢者の日常生活動作を支援),見守り支援型であり,ロボット技術によりリハビリテーションの限界をブレイクスルーしたいわれわれ現場とは同床異夢である.
モノのインターネット(IoT)はさまざまな「物」がインターネットに接続され,情報交換することにより相互に制御する仕組みである.現在でも関節の動きを数式化して内蔵コンピュータが動きを調節する膝継手や足継手にかかるモーメントを可視化して訓練にフィードバックするシステムは存在するが,医療・ヘルスケア分野ではもっと大がかりに,センサー技術などの進歩によりヒトの生命徴候のみならず身体・精神活動などすべての生体データがインターネットを介して収集(ヒトのビッグデータ),解析されるIoH(ヒトのインターネット)が始まっている.余談ではあるが,最近ではドローン(drone)を利用して競技中の選手の動きをリアルタイムに観測し,次のプレーに反映させることも行われる.
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