第48回 日本リハビリテーション医学会 学術集会/千葉 《シンポジウム》脳の可塑性と運動学習―リハビリテーションへの応用を目指して―座長/野崎 大地
経頭蓋的磁気刺激法による脳可塑性の誘導とその臨床応用
美馬 達哉
1
,
小金丸 聡子
1
,
福山 秀直
1
,
高橋 良輔
2
,
道免 和久
3
1京都大学大学院医学研究科附属脳機能総合研究センター
2京都大学大学院医学研究科臨床神経学
3兵庫医科大学リハビリテーション科学
pp.670-673
発行日 2012年10月18日
Published Date 2012/10/18
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経頭蓋的磁気刺激法のリハビリテーションへの応用
経頭蓋的磁気刺激法(Transcranial magnetic stimulation:TMS)は,頭蓋上に設置した電磁コイルにパルス電流を流して磁場を発生させ,生体内に誘導電流を発生させる手法である1).脳内に生じた誘導電流のパルスによって,コイル直下の神経細胞が発火する.1980年代に開発された当初は,ヒトでの臨床神経生理学的な研究や,中枢神経刺激による錐体路機能評価の検査の目的で主として用いられてきた.その後の機器の改良によって,1秒1から50回(1~50Hz)の頻度での連発刺激をする手法(repetitive TMS:rTMS)が開発されてからは,動物実験モデルでのシナプス長期増強や抑制(Long-term potentiation/depression:LTP/LTD)と同様に,TMS終了後にも持続する中枢神経系への影響を生み出すことが可能となり,リハビリテーション(以下,リハ)領域での応用が進められている2,3).
運動麻痺のリハ目的の場合のrTMSパラメータとしては,1Hz程度の低頻度刺激では刺激部位が機能抑制され,5Hz以上の高頻度刺激では刺激部位が機能促通されることが知られている.そのため,実際上は,患側に対して高頻度刺激を行う手法と健側に対して低頻度刺激を行う手法が用いられている.健側を機能抑制すれば,健側から患側への半球間抑制を低下させて,結果として患側の機能促通になることが期待されている.
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