第48回 日本リハビリテーション医学会 学術集会/千葉 《パネルディスカッション》地域連携パスの有効性―座長/畑野 栄治
脳卒中リハビリテーションの継続性と地域連携パス
豊田 章宏
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1独立行政法人労働者健康福祉機構中国労災病院リハビリテーション科
pp.117-122
発行日 2012年3月18日
Published Date 2012/3/18
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はじめに
近年の脳卒中急性期治療は,2005年の超急性期血栓溶解療法の認可などにより専門性と緊急性がより一層高まった.また,診療体制が急性期・回復期・生活期に分割されたことによって急性期病院においては在院日数を短縮することが可能となり,救急ベッドの確保と急性期医療の専門性が向上したことは1つの成果と思われる.回復期においては未だ回復期リハビリテーション(以下,リハ)病床が不足している地域はあるものの,密度の高いリハが行われる環境が整いつつあり,さらに生活期においては在宅を念頭に置き,介護保険を主体としたactivities of daily living(ADL)の維持体制が構築されつつある1).
一方で,この分割された医療を繋ぐものとして地域連携クリティカルパス(地域連携パス)が各地に普及してきた.この連携パスとは,急性期病院から回復期病院を経て早期に自宅に帰れるように診療計画を作成し,治療を受ける全ての医療機関で共有して用いるもので,医療機関が役割分担して,あらかじめ診療内容を患者に提示・説明することにより,患者が安心して医療を受けることができるようにするものである.しかし,診療報酬に誘導されて医療側の都合で普及してきたシステムであることは否定できず,それゆえの問題点も多く指摘されている2).
われわれの医療圏における地域連携パス作成の経緯と運用実態を報告するとともに,継続性が最も重要視される脳卒中後のリハ治療における地域連携パスの効果と問題点について検討した.
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