第46回 日本リハビリテーション医学会 学術集会/静岡 《先端シンポジウム》Brain Machine Interfaceはリハビリテーションに何をもたらすか―座長/生駒 一憲・富田 豊
個性適応型情報処理を用いたロボット制御とその応用
横井 浩史
1,2
,
加藤 龍
3
1電気通信大学知能機械工学専攻
2東京大学情報学環
3東京大学精密機械工学専攻
pp.88-97
発行日 2010年2月18日
Published Date 2010/2/18
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はじめに
1990年代以降,急速に開拓されたブレインマシンインターフェース(Brain Machine Interface:BMI)と呼ばれる新しい技術は,人の運動や感覚に関わる脳活動を用いて外部機器を制御することを目的とした技術であり,医学と工学の交流の中から育つ融合領域的研究テーマである.近年の我が国におけるロボット工学の発展1,2)は,めざましいものがあり,センサ,アクチュエータ,コントローラなどの要素技術から,生体認識,人工知能,超高速高精度の機械制御など,非常に複雑な実用的要求にも応えられるレベルに到達しつつある.そして,その応用範囲も工場などの産業応用から,人の生活支援にまで領域を広げつつあり,人との距離を極限まで縮め,ついには,人に接触して協調作業を行うことが試される時代に到達した.手指は,脳の知的活動の物理的表象のわかりやすい例であり,運動と感覚の高度に連携した人の活動の象徴的な機能である.さらに近年の電子技術およびロボット技術の発展は,これに感覚の機能代行を付け加えようとしている.
本稿では,人の運動機能を工学系の技術を用いて,外部装置に置き換えることを目的として開発した個性適応型情報処理技術(図1)と多自由度干渉駆動系3)を用いて,運動と感覚の機能再建を支援し,残された感覚運動系のあらゆる可能性を探求した成果について述べる.
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