- 販売していません
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
急性心筋梗塞(acute myocardial infarction:AMI)の心臓リハビリテーション(以下,心臓リハ)は,脱調節(deconditioning)からの心臓リハから再発予防のための包括的心臓リハにその目的が大きく変わってきており,わが国では回復期の外来通院型心臓リハのシステムの普及が求められている.しかしながら急性期における早期離床を中心とする心臓リハの重要性は今日も変わらない.AMIの致死率は約40%といわれており,再灌流療法が広く普及し,CCU(coronary care unit)が充実した現在においても入院後の院内死亡率は5~8%程度となっている.したがって,急性期心臓リハはAMIに伴う致死的合併症を避けつつ進める必要性がある.
上島らは,わが国におけるAMIの心臓リハにおける重大事故をまとめている1).それによると,2001年から2003年までの間に日本で実施された心臓リハ402,162例の中で急性期に死亡や心停止を含む重大事故を起こしたのは17例(10万例中4.2件)であり,そのうち心臓リハ実施中に起こったのは6例(10万例中1.5件)であったとしている.さらに不安定狭心症や心不全等の死亡に至らない事故を含む全体としては35例(10万例中8.7件)で,そのうち心臓リハ実施中のものは13例(10万例中3.2件)であったと報告している.
今回,AMIにおける急性期心臓リハにおいて,多枝病変を有した心不全患者が,心臓リハ開始後2週間で再梗塞による心室細動(ventricular fibrillation:Vf)を引き起こし,緊急冠動脈バイパス術(CABG)に至った例を経験したので,心臓リハの経過を含めて報告する.
Copyright © 2009, The Japanese Association of Rehabilitation Medicine. All rights reserved.