レポート「現場最前線」
COVID-19患者の嚥下障害における言語聴覚士の対応
長谷川 智子
1
,
山﨑 由香
1
,
小川 智也
1
,
武藤 義和
2
,
湯浅 浩之
3,4
,
稲垣 俊明
4
1公立陶生病院中央リハビリテーション部
2公立陶生病院感染症内科
3公立陶生病院脳神経内科
4公立陶生病院リハビリテーション科
pp.152-156
発行日 2021年9月15日
Published Date 2021/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.6001200336
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1.はじめに
Coronavirus disease 2019(COVID-19)の感染者が日本で初めて確認されたのは2020年1月である.初期段階においてCOVID-19患者の嚥下訓練の詳細な報告や介入指標は国内にはなく,現場では手探りの対応が必要であった.
嚥下障害へのアプローチは患者と密接な距離で行われ,接触飛沫感染のリスクが高い.多くの訓練手技はエアロゾルが発生するとされ,日本嚥下医学会の指針1)においてもCOVID-19患者への嚥下訓練は推奨されていない.しかし気管切開や人工呼吸器装着,長期臥床による廃用などにて嚥下障害に至るケースも少なくない.
当院の言語聴覚士(speech therapist:ST)はその初期段階にCOVID-19患者の嚥下障害へのアプローチを経験したが,介入STの人選,感染対策や不安など経験したことのない状況に苦慮した.1人でも多くのCOVID-19患者が必要な嚥下訓練を受けられるよう経過と介入方法について報告する.
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