レポート「現場最前線」
認知症高齢者と介護家族間のコミュニケーションを支える言語聴覚療法研究への提言
岩田 まな
1,2
,
吉村 貴子
3
,
丸山 めぐみ
4
1新潟リハビリテーション大学大学院リハビリテーション研究科
2滋慶医療科学大学院大学医療管理学研究科
3京都学園大学健康医療学部言語聴覚学科
4大阪医療技術学園専門学校言語聴覚士学科
pp.65-69
発行日 2017年3月15日
Published Date 2017/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.6001200116
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1.はじめに
日本は1995年に高齢社会,2007年以降超高齢社会となり,高齢者数,平均寿命,高齢化のスピードの3点で世界一の長寿国となった.高齢人口の増加は認知症患者の増加につながり,介護問題が表面化してくる.この問題に対し,厚生労働省は2015年新オレンジプラン1)を策定し,認知症患者を地域ぐるみで支援していく体制づくりを開始した.しかし現実には高齢化の急速な進捗や核家族化に対して社会制度や医療が追いつかず,認知症患者や家族に対する援助の遅れが年々深刻化し,時には悲劇的な様相すら呈してきている.
このような現状から言語聴覚士(ST)に対して新たな援助領域が期待されると思われる.
本研究は認知症患者とその介護家族との間に生じているコミュニケーション上の困難を探り,介護現場でSTの果たす役割を考えていこうとするものである.その第一段階として今回は,認知症に対する神経心理学的知見と言語聴覚障害に関する研究を概観し,言語聴覚障害の専門家として認知症患者と介護者との間に生じているコミュニケーション上の問題をどのように援助していくかを考えたので報告する.
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