特集 生活を彩るさまざまなサービス
旅は最高のリハビリ—トラベルヘルパーの活動
篠塚 恭一
1
1NPO日本トラベルヘルパー協会
pp.18-22
発行日 2020年3月15日
Published Date 2020/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003201157
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はじめに
平成30年,東京オリンピック・パラリンピックが近づく中,国はユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の総合的かつ一体的な推進に関する法律を定めた。それに伴い,観光のユニバーサルデザイン化に取り組む人が増え,かつてバリアフリー旅行といわれた高齢で体の不自由な人や障がいのある人の旅は,ユニバーサルツーリズム,あるいはアクセシブルツーリズムと表され,高齢の人,障がいのある人に加えて,ベビーカーを使用している人や,広義では言葉のわからない外国人旅行者もこの対象とされた。
こうしたユニークな旅に取り組む人の中で,体の不自由な人にとって「旅は最高のリハビリ」という言葉が伝えられている。
旅にリハビリ効用を期待するなら,それはモビリティという特性にあるのだろう。体の不自由な人が,日常の生活圏をとび越え移動するには,ドキドキ,ワクワク,少し勇気を奮い立たせる冒険心も必要になる。そこには見知らぬ人との出会い,交流の中のセレンディピティがあるからだ。
介護旅行の専門家であるトラベルヘルパー(外出支援専門員)の養成講座には,OT・PTなどリハビリテーションを施す専門家の受講生がいる。そうした人は「患者の多くが,リハビリを終えたら家族と旅行をしたい」というので,治療を終えた人が本当に旅に出ているのか,いったいどのような生活を取り戻していのるか知りたいと思いトラベルヘルパーになろうと決めたという。仕事に真摯に向き合う人ほど,そうした好奇心が強くなるのだろうと思う。
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