特集 地域の力で子どもを育てる
重い病気をもつ子どもの「きょうだい」へのサポート
清田 悠代
1
1NPO法人しぶたね
pp.189-192
発行日 2019年7月15日
Published Date 2019/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003201076
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きっかけは病院の廊下で出会ったきょうだい
「しぶたね」は,2003年に生まれました。「しぶたね」という名前には,男女の区別なく兄弟姉妹を表す「きょうだい」に対応する英単語「シブリング(sibling)」の「しぶ」と,きょうだいたちが安心していられる場所や人が増えるよう「たね」をまいて増やしていこうという思いが込められています。
私には4歳下に心臓病の弟がいました。弟が入院する病院に行くと,感染予防のために病棟に入れない小さなきょうだいたちが廊下に座って保護者を待っていました。中学生だった私も病棟には入れないので,そんな子どもたちの隣で学校の宿題をして過ごしていたのですが,2〜3歳に見える女の子が毎日扉の前で母親を求めて泣いていました。どんなに泣いていても,こんなに幼くても,自分は扉の向こうに行ってはいけないことをよくわかっていて,無理やり入ろうとしたりせず,ただ泣き続けていました。その姿は中学生の私の心に深く刺さり,「きょうだいがひとりぼっちの時,傍らに誰か大人がいてほしい」と願いました。この時の気持ちが「しぶたね」立ち上げの原点です。
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