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キックオフ! WORK! DIVERSITYプロジェクト—多様な人々の就労を横断的に支援する新システム構築に向けて〔後編〕
竹村 利道
1
1公益財団法人日本財団公益事業部
pp.130-134
発行日 2019年5月15日
Published Date 2019/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003201060
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前編おさらい
働きづらさを抱える多様な方々への現行の態様別縦割り支援は,限られる予算とスタッフにおいて非効率かつ献身的で,その効果と持続性に多くの課題を抱えていると言わざるを得ない。多くの労働力不足が予測される喫緊の社会課題にあって,個人の幸福としての働くことを手にし,さらに潜在労働力の活用を社会の持続につなげ,さらに社会保障,財政改革にも好影響をもたらす「三方一両得」に寄与すると提起されたのが日本財団WORK! DIVERSITY構想である。その発想は,これまでの態様別に支援を考えるというわが国伝統の近視眼的な視点から,共通の課題として俯瞰的したものにシフトしたものであることが最大の特徴である。
図1にあるように,ひきこもり,刑余者,難病など,その態様,対象別に支援は行われ,その体制も制度に基づくものであるのはまだしも,ボランタリーな活動となっているものまで,混在の状況となっている。一方,筆者が長くかかわってきた障害者就労に関しては,その質を問われながらも,数としては全国くまなくその支援体制が障害者自立支援法(現障害者総合支援法)施行以降,構築され,その数は15,000カ所あまりとなっている。有期限で就労トレーニングを実施し,企業への就労を図る「就労移行支援事業」にしても労働契約により保護的雇用となる「就労継続支援A型事業」にしても,必須条件は障害者であること。そこに付随してニート,触法,がんサバイバー等であることはその利用に一切差し支えないが,障害が前提でなければどのような働きづらさが要因としてあっても,その利用は認められないというのが現ルールにおける要件である。
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