特集 地域に「はたらく」をつくる
各地のモデル事業—郡上八幡二代目だんご屋復活プロジェクト—観光地という条件を活かした障害者の就労支援
大坪 隆成
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1社会福祉法人ぶなの木福祉会
pp.418-419
発行日 2018年6月15日
Published Date 2018/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200878
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吉田川は岐阜県を南北に縦断する長良川の支流である。夏になると鮎を求める釣り人の長い竿が両岸にずらりと並び,川の東西に広がる過疎の町郡上八幡の人口は,国の重要民俗無形文化財である郡上踊りに連日踊り興じる延べ30万人の観光客で膨れ上がる。司馬遼太郎をして日本で最も美しい山城と言わしめた郡上八幡城から見下ろすと,雪国に特徴的なトタン屋根のひしめく小さな町は,吉田川に沿って見事に鮎の形をしている。
冬になると夏の喧騒が嘘のように静まり返る奥美濃の城下町に,半世紀を超えて同じ味を守り続ける串団子の屋台がある。中部地方に特有の5つ玉のみたらし団子は,郡上産のうるち米を2度蒸しした食感と,たまりと呼ばれる濃厚な醤油にザラメを溶かした甘辛いたれの風味が好まれて,地元住民の舌を楽しませている。町の者なら誰でも屋台から立ち上る煙の匂いに立ち止まり,親にせがんで買ってもらった一串の団子を頬張りながら歩いた懐かしい思い出を持っている。
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