巻頭言
包括ケアの仲間に歯科を
佐々木 勝忠
1
1前 岩手県奥州市黒本衣川歯科診療所
pp.88-89
発行日 2018年2月15日
Published Date 2018/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200789
- 有料閲覧
- 文献概要
「フレイル」「サルコペニア」「ロコモティブシンドローム」…,カタカナの言葉になじめない歳になりました。岩手の国保衣川歯科診療所(医科診療所・特別養護老人ホームなど介護施設との併設施設)を退職し,同所で週2,3回アルバイトをしながら亜急性期・維持期病院の2カ所で口腔回診をしています。今,歯科の重要性や必要性を感じています。巻頭言という誌面を頂戴しましたので,今まで経験した症例を紹介し,歯科との連携の必要性と問題点を記したいと思います。
今から10年ほど前に大腿骨を骨折し急性期病院で手術し,リハ病院を経て1年3カ月後に衣川の特別養護老人ホームに88歳のK・Sさんが入所してきました。入所した時のADLは歩行不能で車いす全介助,トイレは全介助,食事は自立しムース食,入浴は機械入浴全介助,着衣は一部介助でした。口腔内は歯の根だけで,噛める歯がなく悲惨な状態でした。1年3カ月間病院に入院していながら歯科治療はなされなかったのです。4カ月かけて歯科治療が終わり,食事はムース食から普通食に食形態をアップすることができました。歯科治療終了2カ月後には,補助車を使い自立歩行できるようになりました。ADLは補助車を使い自立歩行,トイレは自立,食事は自立し普通食,普通の浴槽に一部介助で入浴,衣服着脱は一部介助と向上がみられました。
Copyright © 2018, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.