連載 おもちゃが拓くリハビリテーションの世界・第5回
おもちゃを使った介護予防教室—「やりたい」が生む主体的活動
原田 和巳
1
1株式会社リフシア 健康呼ぼう事業
pp.729-732
発行日 2016年11月15日
Published Date 2016/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200485
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はじめに
高齢者が真剣なまなざしで,時間を忘れるほど夢中になっておもちゃを楽しんでいる。転倒予防や認知症予防のためのトレーニングの際に見せる集中した表情とは違う顔つきである。自ら楽しみながら遊んでいるときの表情は誰もが輝き,遊んでいる際の身のこなしは勢いと力に溢れ,心の輝きを映し出しているかのようである。さらに,遊び終わった後の達成感に浸る表情は喜びと自信に溢れている(図1〜4)。ある男性参加者からは楽しんだ後,大変満足そうな顔をして「おもちゃは子どものものだと思った。大人も遊んでいいんだ」との感想をいただいた。さらに介護予防教室を行っているサービス付き高齢者向け住宅の職員からは「デイサービスには行きたがらないのに,この時間は毎回参加しているんです」という認知症を抱える女性の話を聞いた。
このように介護予防教室において,おもちゃを使って高齢者が主体的に楽しむ姿を見ると,おもちゃには子どもだけではなく高齢者の心も躍動させ,体を動かし,周囲との関係を強め,次回を心待ちにする魅力があることに気がつく。今回はそんな魅力あるおもちゃの活用を通じて輝く高齢者の姿を紹介していきたい。
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