連載 感性の輝き・第35回
人生の一片を共有して…良き伴走者でありたい
加茂 昌子
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1寿生病院 介護老人保健施設寿生苑 訪問リハビリテーション
pp.345
発行日 2016年5月15日
Published Date 2016/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200380
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「Kさんが亡くなったよ」1月の大寒波の頃,予期せぬ訃報が届いた。明日はKさんの訪問リハの日。Kさんの自宅は中山間地域にあるため,雪の心配をしていたところだった。まさか,どうして,人違いでは? 混乱が続いた。
Kさんとの出会いは約3年前にさかのぼる。急性期・回復期病院を経て自宅退院された時には,咽頭期型嚥下障害のために胃瘻による栄養摂取の状態であった。食べることへの意欲は強く,一緒にリハを頑張り,ご自分でも工夫をされながら,最終的には補足的に胃瘻を使いながらも,3食とも奥様の手料理(普通食)を食べることができるまでに回復されていた。Kさんとは,たくさん話をし,たくさんの素敵な時間を共有した。「(急性期)病院でお世話になった看護師さんと口から食べることができるようになったら一緒に羊羹を食べようって約束した」という話をうかがい,その看護師さんと連絡をとって一緒に自宅へ訪問し,約束の羊羹を食べることができた。また,病前に水墨画に親しんでおられたKさんは,ご家族の協力もあって,自宅で個展を開催することができた。個展は大盛況に終わり,Kさんもご家族も,私たちスタッフもとても幸せな気分になった。
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