CBR eye's
2015年ネパール大地震に思う
髙木 理彰
1
1山形大学医学部整形外科学講座
pp.588-590
発行日 2015年8月15日
Published Date 2015/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200181
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
地震発生直後の状況
2015年4月25日,ネパールで発生した地震災害。その生々しい映像を海外メディアはストレートに伝える。東日本大震災も同様であった。広域激甚災害という点では同じだが,建物の倒壊状況から阪神・淡路大震災と類似の骨折やクラッシュ症候群など大勢の整形外科外傷患者の発生を十分想像し得るものであった。事実,整形外科関連物資は極度に不足し,所属学会(日本整形外科学会)からネパール整形外科学会に支援物資を届ける相談を受けたのは発災から1週間後の5月2日だった。以来,東日本大震災の時と同様,各方面との連絡,調整に奔走する日々となった。ネット社会のおかげで,知人の在バングラデッシュ日本大使館医務官を介して,在ネパール医務官の山形仁明先生と連絡が取れたのは翌5月3日の深夜だった。現地はいまだ混乱も多く,飛行機に物資を載せて自分自身で直接持って行くのが唯一確実な方法と教えられた。外傷に携わる海外の他の友人たちからの情報も同様で,寄付はもちろん,単なる物資の調達と依頼発送が何の役にも立たない急性期の厳しい現実が伝わってきた。最大級の余震は5月12日。現地医療機関からは困難な救急対応の様子が直接配信され,やりきれない場面に見入るばかりであった。
Copyright © 2015, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.