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はじめに
椎間板ヘルニアは,腰痛の鑑別診断で最も一般的な疾患の1つである.椎間板ヘルニアは,椎間板の構成成分が線維輪を部分的または完全に穿破し,局所的に逸脱して腰痛,下肢痛,下肢神経症状を呈した病態と定義される.画像では,椎間板の構成組織が椎間板腔の境界を越えて局所的に逸脱した状態とされる2).
椎間板ヘルニアは,その局在により,後正中型,後外側(傍正中)型,椎間孔型,椎間孔外側型に分類される.椎間孔型と椎間孔外側型を総称して「外側型」と呼ぶ2).頻度としては,後外側(傍正中)型が70〜80%と最多で,次いで後正中型が15〜20%,外側型は3〜11%とまれである3).
後正中型および後外側型が全体の大半を占め,椎間板内容物が脊柱管内に逸脱していても,椎間板との連続性が認められることが多く,MRI(特にT2強調像)で容易に診断可能な場合がほとんどである.しかし,外側型ヘルニアはまれであり,疑って見ない場合には見えてこない.また,撮像で横断像のスライス厚が厚い場合や撮像角度が不適切な場合には診断が難しくなる.さらに,硬膜の圧排所見が軽度か,認められない場合が多く,椎間孔部にはまり込むように存在していたり,椎間孔外側部で骨棘などと重なって見づらい場合がある.特にL5/Sレベルでは,仙骨翼や腸骨との構造的な重なりによって外側型ヘルニアが見落とされることがある7).加えて,移行椎や神経原性腫瘍,神経根の異常走行などとの鑑別が難しい場合もある.外側型ヘルニアの約1/3は初期診断で誤診されているとの報告もある8).
本稿では,外側型ヘルニアを見落とさないための画像診断について,MRI撮像の工夫と解釈についても触れながら解説する.
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