Japanese
English
特集 MRI撮像の工夫と解釈—わかりにくい病変と解剖
Occult tethered cord syndrome
Occult Tethered Cord Syndrome
中西 一義
1
Kazuyoshi NAKANISHI
1
1日本大学医学部整形外科学系整形外科学分野
1Department of Orthopedic Surgery, Orthopedics Field, Nihon University School of Medicine
キーワード:
脊髄係留症候群
,
tethered cord syndrome
,
腹臥位MRI
,
prone position MRI
,
終糸切離術
,
section of the tight filum terminale
Keyword:
脊髄係留症候群
,
tethered cord syndrome
,
腹臥位MRI
,
prone position MRI
,
終糸切離術
,
section of the tight filum terminale
pp.1053-1059
発行日 2025年1月25日
Published Date 2025/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002202465
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はじめに
Tethered spinal cordは,肥厚した終糸(filum terminale)に牽引され低位脊髄円錐となる病態であり,Hoffmanら 11)によって初めて提唱された.Garceau 7)はこの考えを引き継ぎ,この病態をfilum terminale syndromeと名づけた.本病態は,下肢痛や,下肢,膀胱機能の低下だけでなく,頑固な腰痛を生じ15,46,48),脊髄係留症候群(tethered cord syndrome:TCS)と呼ばれるようになった.
これは脊髄が,尾側に固定(係留)された状態で慢性的な牽引ストレスを受けることにより機能障害を呈する病態を指し,小児だけでなく成人にも発症し得ることが知られている9,12,13,17,23).早期の良好な手術効果が報告されており,診断の遅れが治療成績に影響を与えることがあるため,正確に診断することが重要である10,13,17,46).ただし,TCSの症状があるものの,MRIでtethered spinal cordが確認できない病態が存在し14,29),診断が困難であるため注意を要する.この病態はoccult TCSと呼ばれ,終糸切離術を行うことで改善することがわかっている.本稿ではoccult TCSをテーマに,その病態,診断および治療について,筆者らが試みた腹臥位MRI検査を交えて述べる.
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