特集 頸椎神経根症再考
特集にあたって
原 政人
1
1愛知医科大学脊椎脊髄センター
pp.935
発行日 2024年12月25日
Published Date 2024/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002202439
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頸椎神経根症は自然軽快する症例が8割以上を占めるとされる.そのこともあって,手術加療は必要でないとの認識が多くの脊椎外科医の中で醸成されていた.しかし,2割に満たないとはいえ少なくない症例においては,痛みや脱力のために苦しい日常生活を強いられていた.内服加療が効果を示さない症例に対して,外科的アプローチが有効であることを経験的に知っている脊椎外科医は積極的に手術を行い,良好な成績をあげてきた.
私の外来には,3カ月以上も筋力が低下したままになっていたり,頸部の動きにて痛みが出現したりして生活に制限をきたしたままになっている患者さんが受診される.神経学的高位診断が画像所見と一致していれば,手術を行うようにしており,上肢の痛みは多くの症例で消失する.筋力低下も改善を認めるが,C8神経根症では改善が乏しい印象である.もしかすると結構多くの患者さんが痛みを抱えたまま生活しているかもしれないが,実際のところはわからない.
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